< コリント人への手紙第一 7 >
1 第三項 婚姻及び童貞の身分 汝等が我に書贈りし事に就きては、男の女に触れざるは善き事なり。
2 然れど私通を免れん為には各妻あるべく、女も各夫あるべく、
3 夫は妻に負債を果し、妻も亦夫に然すべきなり。
4 妻は其身の権利を有せずして夫之を有すると共に、夫も亦其身の権利を有せずして妻之を有す。
5 相拒む事勿れ、唯祈に從事せんとて合意の上暫く之を罷むるも、再び共に其事に復るべし、是汝等が色情に就きてサタンに誘はれざらん為なり。
6 然て我が斯く云へるは、命令に非ずして許可なり。
7 蓋我が望む所は、汝等皆我が如くならん事なりと雖も、人各固有の賜を神に得て、一人は此の如く一人は彼の如し。
8 然れば婚姻を為さざる人及び寡婦に向ひて我は言ふ、其儘に而も我が如くにして居らんは、彼等に取りて善き事なり。
9 然れど若自ら制する事能はずば、宜しく婚姻すべし、婚姻するは[胸の]燃ゆるに優ればなり。
10 婚姻に由りて結ばれたる人々には、妻は夫に別るる事勿れと命ず。是我に非ずして主の命じ給ふ所なり。
11 若別るる事あらば其儘にして嫁がず、或は夫に和合すべし、夫も亦妻を離縁すべからず。
12 其他の人々には我謂はん、是は主の曰ふに非ず、若兄弟に不信者なる妻を有てる者あらんに、其妻彼と同居する事を承諾せば、之を離別する事勿れ。
13 若又信者たる婦、不信者なる夫を有てる事あらんに、夫之と同居する事を承諾せば、夫を離去るべからず。
14 蓋不信者なる夫は(信徒たる)妻によりて聖とせられ、不信者なる妻も(信徒たる)夫によりて聖とせられたるなり。然らざれば汝等の子等は潔からざるべしと雖も、今彼等は聖たるなり。
15 不信者若自ら去らば去るに任せよ、其は斯る時に當りて、兄弟或は姉妹は奴隷たるべきに非ず、神は平和に我等を召し給へるなり。
16 蓋妻よ、汝争でか能く夫を救ふべきや否やを知らん、又夫よ、汝争でか能く妻を救ふべきや否やを知らん。
17 唯主が面々に分配し給ひし儘に、神が面々を召し給ひし儘に歩むべし、凡ての教會に於て我が教ふる所斯の如し。
18 人割禮ありて召されたらんか、割禮を匿む事勿れ、人割禮なくして召されたらんか、割禮を受くる事勿れ、
19 効あるは割禮に非ず、又無割禮に非ず、神の掟を守る事是なり。
20 各我が召されし時の身分に止るべし。
21 汝奴隷にして召されたらんか、之を思ひ煩ふ事勿れ、假令自由の身となる事を得るも、一層利用せよ。
22 蓋奴隷にして主に召されたる者は主に於ては自由の身となりし者、同じく自由の身にして召されたる者はキリストの奴隷たるなり。
23 汝等は價を以て買はれたり、人の奴隷となる事勿れ。
24 兄弟等よ、各召されたる儘に、神に在りて之に止るべし。
25 童貞女に就きては、我主の命を受けざれども、主より慈悲を蒙りたる者として、忠實ならん為に意見を與へんとす。
26 然れば目前の困難の為には我之を善しと思ふ。其は其儘なるは人に取りて善ければなり。
27 汝妻に繋がれたるか、釈かるる事を求むる勿れ、妻に絆されざるか、妻を求むる事勿れ。
28 假令汝妻を娶るも罪とならず、童貞女嫁するも亦罪とならず、但斯る人は肉身上困難を受けん、我は汝等の之に遇ふことを惜む。
29 兄弟等よ、我が言へるは是なり、時は縮まりぬ、然れば妻を有てる人も有たざるが如く、
30 泣く人は泣かざるが如く、喜ぶ人は喜ばざるが如く、買ふ人は持たざるが如く、
31 此世を利用する人は利用せざるが如くになるべき外なし、其は此世の態は過行くものなればなり。
32 斯て我汝等の思ひ煩はざらんことを望む。妻なき人は、如何にして主を喜ばしめんかと、主の事を思ひ煩ふに、
33 妻と共に居る人は、如何にして妻を喜ばしめんかと、世の事を思ひ煩ひて心分るるなり。
34 婚姻せざる女と童貞女とは、身心共に聖ならん為に主の事を思ひ、婚姻したる女は、如何にして夫を喜ばしめんかと、世の事を思ふなり。
35 抑我が之を言へるは、汝等に益あらんが為にして、汝等を罠に懸けんとするに非ず、寧汝等をして貞潔に進ましめ、餘念なく主に奉侍する事を得しめん為なり。
36 人ありて若我女の童貞女の年過ぎたるを辱しとし、然せざるを得ずと思はば、其望む所を行へ、女婚姻するも罪を犯すには非ず。
37 然れど人ありて、心に堅く決する所あり、必要にも迫られず、我意の儘に事を行ふ権力ありて、心の中に女を童貞女にして保つを善しと定めたらん時に、然するは善き事なり。
38 然れば己が童貞女に婚姻を結ばしむる人も善き事を為し、結ばしめざる人も更に善き事を為すなり。
39 婦は夫の活ける間は繋がるれども、夫永眠すれば自由なり、宜しく望の人に嫁ぐべし、唯主に於て為すべきのみ。
40 然れど我が意見に從ひて若其儘に止らば、福は一層なるべし、我も神の霊を有し奉る思ふなり。