< ヨハネの福音書 19 >
2 兵卒ども茨にて冠冕をあみ、その首にかむらせ、紫色の上衣をきせ、
兵卒ども茨にて冠冕をあみ、その首にかむらせ、紫色の上衣をきせ、
3 御許に進みて言ふ『ユダヤ人の王やすかれ』而して手掌にて打てり。
御許に進みて言ふ『ユダヤ人の王やすかれ』而して手掌にて打てり。
4 ピラト再び出でて人々にいふ『視よ、この人を汝らに引 出す、これは何の罪あるをも我が見ぬことを汝らの知らん爲なり』
ピラト再び出でて人々にいふ『視よ、この人を汝らに引 出す、これは何の罪あるをも我が見ぬことを汝らの知らん爲なり』
5 ここにイエス茨の冠冕をかむり、紫色の上衣をきて出で給へば、ピラト言ふ『視よ、この人なり』
ここにイエス茨の冠冕をかむり、紫色の上衣をきて出で給へば、ピラト言ふ『視よ、この人なり』
6 祭司長・下役どもイエスを見て叫びいふ『十字架につけよ、十字架につけよ』ピラト言ふ『なんぢら自らとりて十字架につけよ、我は彼に罪あるを見ず』
祭司長・下役どもイエスを見て叫びいふ『十字架につけよ、十字架につけよ』ピラト言ふ『なんぢら自らとりて十字架につけよ、我は彼に罪あるを見ず』
7 ユダヤ人こたふ『我らに律法あり、その律法によれば死に當るべき者なり、彼はおのれを神の子となせり』
ユダヤ人こたふ『我らに律法あり、その律法によれば死に當るべき者なり、彼はおのれを神の子となせり』
9 再び官邸に入りてイエスに言ふ『なんぢは何處よりぞ』イエス答をなし給はず。
再び官邸に入りてイエスに言ふ『なんぢは何處よりぞ』イエス答をなし給はず。
10 ピラト言ふ『われに語らぬか、我になんぢを赦す權威あり、また十字架につくる權威あるを知らぬか』
ピラト言ふ『われに語らぬか、我になんぢを赦す權威あり、また十字架につくる權威あるを知らぬか』
11 イエス答へ給ふ『なんぢ上より賜はらずば、我に對して何の權威もなし。この故に我をなんぢに付しし者の罪は更に大なり』
イエス答へ給ふ『なんぢ上より賜はらずば、我に對して何の權威もなし。この故に我をなんぢに付しし者の罪は更に大なり』
12 ここにおいてピラト、イエスを赦さんことを力む。されどユダヤ人さけびて言ふ『なんぢ若しこの人を赦さば、カイザルの忠臣にあらず、凡そおのれを王となす者はカイザルに叛くなり』
ここにおいてピラト、イエスを赦さんことを力む。されどユダヤ人さけびて言ふ『なんぢ若しこの人を赦さば、カイザルの忠臣にあらず、凡そおのれを王となす者はカイザルに叛くなり』
13 ピラトこれらの言をききて、イエスを外にひきゆき、敷石(ヘブル語にてガバタ)といふ處にて審判の座につく。
ピラトこれらの言をききて、イエスを外にひきゆき、敷石(ヘブル語にてガバタ)といふ處にて審判の座につく。
14 この日は過越の準備 日にて、時は第六時ごろなりき。ピラト、ユダヤ人にいふ『視よ、なんぢらの王なり』
この日は過越の準備 日にて、時は第六時ごろなりき。ピラト、ユダヤ人にいふ『視よ、なんぢらの王なり』
15 かれら叫びていふ『除け、除け、十字架につけよ』ピラト言ふ『われ汝らの王を十字架につくべけんや』祭司長ら答ふ『カイザルの他われらに王なし』
かれら叫びていふ『除け、除け、十字架につけよ』ピラト言ふ『われ汝らの王を十字架につくべけんや』祭司長ら答ふ『カイザルの他われらに王なし』
16 ここにピラト、イエスを十字架に釘くるために彼らに付せり。彼らイエスを受取りたれば、
ここにピラト、イエスを十字架に釘くるために彼らに付せり。彼らイエスを受取りたれば、
17 イエス己に十字架を負ひて、髑髏(ヘブル語にてゴルゴダ)といふ處に出でゆき給ふ。
イエス己に十字架を負ひて、髑髏(ヘブル語にてゴルゴダ)といふ處に出でゆき給ふ。
18 其處にて彼らイエスを十字架につく。又ほかに二人の者をともに十字架につけ、一人を右に、一人を左に、イエスを眞中に置けり。
其處にて彼らイエスを十字架につく。又ほかに二人の者をともに十字架につけ、一人を右に、一人を左に、イエスを眞中に置けり。
19 ピラト罪標を書きて十字架の上に掲ぐ『ユダヤ人の王、ナザレのイエス』と記したり。
ピラト罪標を書きて十字架の上に掲ぐ『ユダヤ人の王、ナザレのイエス』と記したり。
20 イエスを十字架につけし處は都に近ければ、多くのユダヤ人この標を讀む、標はヘブル、ロマ、ギリシヤの語にて記したり。
イエスを十字架につけし處は都に近ければ、多くのユダヤ人この標を讀む、標はヘブル、ロマ、ギリシヤの語にて記したり。
21 ここにユダヤ人の祭司長らピラトに言ふ『ユダヤ人の王と記さず、我はユダヤ人の王なりと自稱せりと記せ』
ここにユダヤ人の祭司長らピラトに言ふ『ユダヤ人の王と記さず、我はユダヤ人の王なりと自稱せりと記せ』
22 ピラト答ふ『わが記したることは記したるままに』
ピラト答ふ『わが記したることは記したるままに』
23 兵卒どもイエスを十字架につけし後、その衣をとりて四つに分け、おのおの其の一つを得たり。また下衣を取りしが、下衣は縫目なく、上より惣て織りたる物なれば、
兵卒どもイエスを十字架につけし後、その衣をとりて四つに分け、おのおの其の一つを得たり。また下衣を取りしが、下衣は縫目なく、上より惣て織りたる物なれば、
24 兵卒ども互にいふ『これを裂くな、誰がうるか鬮にすべし』これは聖書の成就せん爲なり。曰く『かれら互にわが衣をわけ、わが衣を鬮にせり』兵卒ども斯くなしたり。
兵卒ども互にいふ『これを裂くな、誰がうるか鬮にすべし』これは聖書の成就せん爲なり。曰く『かれら互にわが衣をわけ、わが衣を鬮にせり』兵卒ども斯くなしたり。
25 さてイエスの十字架の傍らには、その母と母の姉妹と、クロパの妻マリヤとマグダラのマリヤと立てり。
さてイエスの十字架の傍らには、その母と母の姉妹と、クロパの妻マリヤとマグダラのマリヤと立てり。
26 イエスその母とその愛する弟子との近く立てるを見て、母に言ひ給ふ『をんなよ、視よ、なんぢの子なり』
イエスその母とその愛する弟子との近く立てるを見て、母に言ひ給ふ『をんなよ、視よ、なんぢの子なり』
27 また弟子に言ひたまふ『視よ、なんぢの母なり』この時より、その弟子かれを己が家に接けたり。
また弟子に言ひたまふ『視よ、なんぢの母なり』この時より、その弟子かれを己が家に接けたり。
28 この後イエス萬の事の終りたるを知りて、――聖書の全うせられん爲に――『われ渇く』と言ひ給ふ。
この後イエス萬の事の終りたるを知りて、――聖書の全うせられん爲に――『われ渇く』と言ひ給ふ。
29 ここに酸き葡萄酒の滿ちたる器あり、その葡萄酒のふくみたる海綿をヒソプに著けてイエスの口に差附く。
ここに酸き葡萄酒の滿ちたる器あり、その葡萄酒のふくみたる海綿をヒソプに著けてイエスの口に差附く。
30 イエスその葡萄酒をうけて後いひ給ふ『事 畢りぬ』遂に首をたれて靈をわたし給ふ。
イエスその葡萄酒をうけて後いひ給ふ『事 畢りぬ』遂に首をたれて靈をわたし給ふ。
31 この日は準備 日なれば、ユダヤ人、安息 日に屍體を十字架のうへに留めおかじとて(殊にこの度の安息 日は大なる日なるにより)ピラトに、彼らの脛ををりて屍體を取除かんことを請ふ。
この日は準備 日なれば、ユダヤ人、安息 日に屍體を十字架のうへに留めおかじとて(殊にこの度の安息 日は大なる日なるにより)ピラトに、彼らの脛ををりて屍體を取除かんことを請ふ。
32 ここに兵卒ども來りて、イエスとともに十字架に釘けられたる第一の者と他のものとの脛を折り、
ここに兵卒ども來りて、イエスとともに十字架に釘けられたる第一の者と他のものとの脛を折り、
33 而してイエスに來りしに、はや死に給ふを見て、その脛を折らず。
而してイエスに來りしに、はや死に給ふを見て、その脛を折らず。
34 然るに一人の兵卒、鎗にてその脅をつきたれば、直ちに血と水と流れいづ。
然るに一人の兵卒、鎗にてその脅をつきたれば、直ちに血と水と流れいづ。
35 之を見しもの證をなす、其の證は眞なり、彼はその言ふことの眞なるを知る、これ汝 等にも信ぜしめん爲なり。
之を見しもの證をなす、其の證は眞なり、彼はその言ふことの眞なるを知る、これ汝 等にも信ぜしめん爲なり。
36 此 等のことの成りたるは『その骨くだかれず』とある聖 句の成就せん爲なり。
此 等のことの成りたるは『その骨くだかれず』とある聖 句の成就せん爲なり。
37 また他に『かれら己が刺したる者を見るべし』と云へる聖 句あり。
また他に『かれら己が刺したる者を見るべし』と云へる聖 句あり。
38 この後、アリマタヤのヨセフとて、ユダヤ人を懼れ密にイエスの弟子たりし者、イエスの屍體を引 取らんことをピラトに請ひたれば、ピラト許せり、乃ち往きてその屍體を引取る。
この後、アリマタヤのヨセフとて、ユダヤ人を懼れ密にイエスの弟子たりし者、イエスの屍體を引 取らんことをピラトに請ひたれば、ピラト許せり、乃ち往きてその屍體を引取る。
39 また曾て夜 御許に來りしニコデモも、沒藥・沈香の混和物を百 斤ばかり携へて來る。
また曾て夜 御許に來りしニコデモも、沒藥・沈香の混和物を百 斤ばかり携へて來る。
40 ここに彼らイエスの屍體をとり、ユダヤ人の葬りの習慣にしたがひて、香料とともに布にて卷けり。
ここに彼らイエスの屍體をとり、ユダヤ人の葬りの習慣にしたがひて、香料とともに布にて卷けり。
41 イエスの十字架につけられ給ひし處に園あり、園の中にいまだ人を葬りしことなき新しき墓あり。
イエスの十字架につけられ給ひし處に園あり、園の中にいまだ人を葬りしことなき新しき墓あり。
42 ユダヤ人の準備 日なれば、この墓の近きままに其處にイエスを納めたり。
ユダヤ人の準備 日なれば、この墓の近きままに其處にイエスを納めたり。